みんなの声オンライン交流会
みんなの声オンライン交流会
3月26日(土)21:00~22:30
闘病中のご家族を対象とした「みんなの声オンライン交流会」を行いました。
参加された方はご家族2名とAYA世代の闘病当事者である須賀さん、ゲストとして作業療法士であり当会会員の大村さんに参加していただきました。
発症からこれまでの病気の推移と現在のご状況をお聞きし、どういう思いでお子さんに接しているか。お子さんとどう過ごされているか、今後どういう治療があるのかなどを語り合いました。
大村さんには、ご自身の経験を振り返りながら、作業療法士としての助言として、身体を動かすことの重要さ、日常遊ぶTVゲームでも指先の運動になるので、お子さんの好きなことを一生懸命やったら、それがリハビリになるという事を教えていただきました。また、やがて出てくるであろう嚥下障害等への対応など参考になるアドバイスを頂きました。
参加されたお二人に個人的に伺いたかったのは、現在のコロナ禍での治療という問題でしたが、治療や学校への病気の報告、治療後の復帰等は、割とスムーズに行ったという事、またコロナによる授業のオンライン化という事態が、かえって良い方向に働いた面もあるという事をお聞きしました。
登校が難しいお子さんの孤独感ということが気になりますが、お友達も家まで遊びに来てくれているという事で、お子さんご本人も、療養を必ずしもネガティブな出来事とばかりに捉えていないという事も伺えました。
そのようなお子さんを支える
闘病ご家族のお二人からは、非常に重い思いを抱えながらも、過度に悲観的にならず、前向きに療養生活を送られているご様子が伺え、少しほっとしましたが、もちろんその裏側には、油断ならない事態がいつ訪れるかという思いが常に貼り付いた状況とともにあるのだろうなと改めて思いました。
今回、参加された理由として「絶対に治してやりたい」という親御さんの当然の願いがあり、その流れで、DIPGの長期生存者はいないのかというご質問もいただきました。
過去私も同じ質問を澤村先生にしたことがあり、その時の回答である「全くいないという事もないが、恐らくその場合は、典型的なDIPGではなく、誤診だった可能性が高い」という事をそのままお伝えするしかありませんでした。
10年前、娘の発症時に某SNSで知り合った方がいるのですが、その息子さんはテモダールで長期生存されていると聞いています。こういうことは、わずかですが経験することもあると柳澤先生などもおっしゃっています。
「VOICE 2020」にも記載があるように、臨床試験でテモダールを含めた既存薬の効果は否定されていますが、それはあくまで結果の中央値を見た結論なので、個別の事例を細かく見れば、効果があったという場合もあるという事です。
基本的に生検せず、厳密な病理診断をしない疾患であり、色々な種類が混在した不均一性の高さがDIPGの特長とされていますので、ケースにより、既存の薬が効果を発揮する場合もあり得るという事でしょうか。
個人的な闘病経験から、放射線で失調症状が改善した後、維持的な化学療法を始めた事で、著しくQOLを壊してしまったという後悔があるので、次はこれ次はこれと、治療に治療を重ねるのは慎重になった方がいいのかなと思っています。
また、皆様の根本的な思いとして、もう少し発見が早ければもっと違う結果になったのではという疑念に悩む親御さんもいらっしゃると思いますが、個人的経験からすると、娘は偶然に腫瘍が発見され、その約1年後に発症して治療開始となりました。
発症して症状が出ない限り、早期に発見できても、いきなりの放射線治療開始の判断は医師としても困難だったという事は、その後、セカンドオピニオンの医師からもはっきりと言われました。
皆様が治療を開始したタイミングがまさにその時であったと、決して発見が遅れたのでは?と悩んだり気にしたりは無用と申し上げました。
現時点のリアルタイムでご闘病されている皆様のお話は、とても有意義なお話ばかりですが、新しい動きとしての遺伝子検査に関するお話もあり、特に、DIPGの場合、生検による腫瘍組織の採取というの事が困難な中、昨年より保険適応された血液による検査を実践されており、組織の検査より正確性は落ちるものの、一応のデータが得られたという事には、少し可能性を感じました。
データによって適応できる薬剤が見つかる可能性は10%程度という事で、とても低いのですが、先ほど申し上げた、適応が無い化学治療を選択してしまうという可能性を低くできる点は、QOLの上で良いですし、そして、もし適応する治療薬が見つかればそれに越した事はない点で、わずかながら検査の有用性はあるかなと思います。
現在、国内治験は、膠芽腫や髄芽腫といった「高悪性度グリオーマ」の範疇まで拡大してみますと、それなりに色々な治験が行われており、テモダールやアバスチンといった薬剤に加え、私たちの頃より治療の選択肢が少しあるのかなとも考えていますが、やはりそこに生検という条件と小児という年齢の壁もあり、なかなかアクセスできないでいる現実もあります。
それに比較して色々やっている様子の欧米は良いな・・という思いになりますが、特に欧米は国民皆保険制度というのが無いですから、各家庭の所得状況によっては、がん治療は経済的にとても困難なことになります。そこで多くの子どもたちが各臨床試験への参加を選択し、生検も活発に行われている面もあり、それでやっと我々が受けているレベルの治療生活が可能になっているという現実もあるようです。(また、臨床試験参加は、「実験」という側面もある事は意識された方が良く、必ずしも、「最新治療」というわけではありません)
そういった中で、大原薬品工業が国内治験中のOP-10という薬剤は、H3 K27MというDIPG患者の70%に見られる遺伝子変異に作用する分子標的薬とされて期待されているものです。当然、このご質問もありました。大方、治験は終了しているという情報もありますが、契約上の決まりがあるのか、先生方からの正確な情報をなかなかいただけて無いというのが現状です。しかし、当コミュとしても、何らかの動きがあり次第、皆様にお知らせしたいと考えております。
以上、今回の交流会、参加されたお二人からは、初めて同じ病気のご家族と色々と話せて良かったとのご感想をいただき、ほっとしております。
専門家ではないことから、皆様のご質問に過不足なくお答えできない部分もあり申し訳ありませんが、こういった試みが、日常的に重く不断の緊張を強いられている闘病中のご家族にとって、少しでも心に軽みを取り戻せる時間となればと思っております。
今後も色々な方の協力も仰ぎながら、定期的な開催も考えておりますので、ご関心がありましたら、次の機会にぜひご参加頂ければと思います。
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