ボランティア「響」ブログ

2015年11月29日 23時50分02秒 (Sun)

グリーフケア講演会「死から学ぶ1」に行きました。

グリーフケア講演会「死から学ぶ1」に行きました。画像 The Egg Three House 主催 講演会「死から学ぶ1」に参加させていただきました。
大まかにレポートします。

基調講演 奥野滋子氏
湘南中央病院在宅診療部長。教育と臨床の両面で緩和ケアの促進に取り組んでいる経験から様々な臨床事例をお話し下さいました。
昨今「死」に関する関心は高くなっているが、それだけ逆に「死」を実感できない時代であるという認識が前提としてあるのではないかというお話からはじまり、実際の臨床事例をご紹介くださいました。

・事例1 80代の女性。
家族親戚関係は良好、
病気のための激痛で身体が動かなくなる。
きっちりとした性格。いつ行ってもきれいな身だしなみをしている。
なので、いままでできていたことができなくなっていく悔しさ・・・。
三味線のお師匠さんをされていた。
もう一度三味線を持ちたいという希望。
緩和ケアによって痛みを和らげ三味線を持てるまでになった。
目一杯生きたので死に後悔はない。
死ぬ時は自分は方向音痴なので、西の空が真っ赤に染まる夕刻に死にたい。浄土は西にある。
実際、その時刻に他界。
遺族の希望でご遺体の写真を披露。おだやかな顔。
家族曰く素敵な死顔。
この方から学んだのは、末期は痛みをできるだけ緩和することが必要。この処置によって最後に三味線の師匠に戻れた。
多くの人の最後の望みは「いつもの生活にもどる」ことである。
「なんでもない幸せ」は普段なかなか実感できないが、死を身近にすることて普段の生活の尊さを気付く。

・事例2 子どもも死を語りたい。
・脳腫瘍の7歳の男児。
母一人、子ー人の家庭、
手術前日病室を訪れると、母親から明日の手術を延期するかもという話。
先生のお話は、手術なくしては、半年も生きられないが、手術によって意識不明になってしまうリスクも告げられる。
母親の苦悩。子どもにしっかり話をしていない。やはりすべきだろうと・・・。
手術は延期され、母は子に事実を話す。
そこで語られた幼い子どもの驚くべき言葉・・・
「それじゃ、僕は家に帰るよ・・・お母さん、病気になったのが僕で良かったよ。お母さんにはこの病気は耐えられない。僕は大丈夫だから・・・僕で良かったんだ・・・」
自分が病気なのにちゃんと母親へのおもいやりを見せたのです。
・小児病棟に入っていくと、あの子は亡くなったとか、親が悲しい顔をしていたとか、そういうことをよく子どもたち同志で話していることが多い。
やはり、子どもだからとか、分からないからとか、そういったことではなく、子ども自身も知りたがっているし、話したがっているということ。そのことを受け止めて、子どもを除外せず仲間としてきっちり向き合い「死の現場」に入れていくことが必要。

・事例3 大腸がんの女性、既婚、子どもなし、ペットの犬がいる。
病気なんかに負けない。がんとつき合っていく。親より先に死にたくない。生きたい。
自分のことは自分で決めたい。他人に相談してうまくいかないと、その責任はその人になる
そんなことはさせたくない。
・夜眠りたくない。目がさめなくなる恐怖。
こういう患者さんは多い。無理せず夜眠らなくてもいい。不用意な眠剤使用は問題である。
・自分の最期の希望を母だけに話していた。
母親が料理を作る音を隣で聴きながら死にたい・・・。
家に帰り、希望通りの死を迎えた。
・本人が死を必ずしも受け入れなければならないことはない。
受け入れることが良くて、受け入れられないのが悪ではない。様々である。

・お迎え現象
・亡くなる間際に本人があたかもそこに誰かいるがごとく、話しかけたり、やさしい表情が変わることがある。そういう現象がある。
・60歳の卵巣がんの女性。お迎えは小4の時死別したお母さん。だけど、こちらを向いてくれない。
ある日、穏やかな顔で医療スタッフを迎える。やっとお母さんがこちらを向いてくれた。これでやっと安心していけます。いや、まだまだそんなことは・・・と私たちが言っていると、翌日、容態が急変して亡くなった。
・80代男性、旧制高校時代サッカー部。
末期に、仲間が来ているとつぶやき、どうやらサッカー部の仲間らしい。
家族は、死後、スーツ姿からサッカーのユニフォームに着替えさて旅立たせた。
・こういったお迎え現象が4割を越えているいうことが研究によって分かっている。
誰が来るのかというと、亡くなった近しい人が多い。
これは、生者と死者の共同作業で生まれてくる。時空を越えたお互いの関係性の確認作業だと思う。
存在価値、来世、魂の苦しみ、痛みのケア・・・スピリチュアルケアにとっても役立っている現象かもしれない。

・亡くなった方の遺書
「人生様々なことがある。がんもその一つである。不幸だったが、これによっていろいろ学ばせていただいた。たくさんの愛情をいただき、感謝ということを学んだ。感謝とともに幕を引かせていただいたことを御報告致します。」

・マーガレットニューマンの看護理論のことば
「心の解放は、傷つきやすくなり苦悩を伴うが、苦悩は私たちを前進させてくれる。苦悩を避けることは、より高いレペルへの意識への動きを妨げる。苦悩は私たちに特定の状況への超越の機会を与えてくれる。私たちをおとしめるのは、死や病気ではない。真におとしめる行為は、そういった経験に近づかないことだ。苦悩を避けることで自分の身を守ることは、経験によるより高い次元への拡張の機会を失うことだ・・・必要なことは心を解き放ち、様々な経験、苦悩を認め合うことだ・・」

以上、様々な事例から「死」を巡っての本人や家族の思いを感じられたお話でした。

この奥野氏の講演後、3名の講師の方の10分間のショート講演がありました。
・看護師でがん相談センターの相談員 渡辺美奈氏は、出身地の北海道の雄大な自然の命の営みに思いを馳せながら、末期の患者との自らの交流の経験を話されました。
・子どもたちの心のケアをされているNPOの副理事長 大熊雅士氏は、東日本大震災で被災した子どもたちの心のケアのお話・・・なかなか現地でグリーフケアと言う言葉が理解されなかったというお話。それから、今学校現場で自殺する生徒が増えているというショッキングな報告のあと、子どもたちが「死」を自分の中で受け止めきれない現実があり、学校単位での心のケアの必要性と、実際に行なった全校生徒による「お別れ会」のアイデアを話されました。
・「人のこころに寄り添う葬儀社」を広める活動をされている葬儀社社長の是枝嗣人氏は、これまでの葬儀の経験から、お葬式には様々なグリーフの機会があることをお話くださいました。また、グリーフは単に死別だけではなく、様々な場面でのグリーフがあり得る。そういうところに心を向けた社会のあり方の必要性を話されました。

その後のパネルディスカッションでは、「グリーフ」とは何か?という問題を巡って討論があり、
「人の悲しみはそもそも分からないものである」
「寄り添うことである」
「千の風」の歌のようなもの・・・
などの意見が出されました。
外来語としてのグリーフケアという概念が日本で理解されるのは難しい。
そもそもグリーフとは・・・それが何なのか見つけていくのがこの講演会のテーマであると締めくくられました。

今回、様々な角度から様々なグリーフケアに関してのお話をお聴きすることができ、とても知見が広がった思いです。
他者の人生における決定的な経験を理解してそれに対する支援を行なっていく・・・というのは本当に困難で難しい作業であり、ほとんど不可能と思ってしまいます。
しかし、そういった「悲しみ」というものに対し、専門家の皆様の多様な角度からの試行錯誤の努力が、今まさに始まっているのだなと思いました。

当会としても、そういった仕事と誠実に向き合う、西尾先生とThe Egg Three Houseのスタッフの皆様の活動を今後も応援していきたいと思います。

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