ボランティア「響」ブログ

2014年7月1日 2時52分41秒 (Tue)

西尾先生との対話

西尾先生との対話画像 子どもたちへのグリーフケアとは?
6月29日(日)、池袋にて、東京小金井で子どもたちへのグリーフケア活動を実践する西尾先生と会員6名が懇談会を行いました。とても充実した時間でした。その内容の一部を以下に記します。

西尾温文
※1998年4月に3番目の娘を神経芽腫で5歳と5ヶ月で亡くす経験をもつ。
治療により一時寛解するが再発、仕事の多忙さで再発の異変に気づくのが遅れたかもしれないという思いがある。
闘病当時の後悔として、当時、兄、小5、姉、小2という年齢ではあったが、この二人のきょうだい、そして娘本人に今後どのように過ごしたいか、治療やその推移についてちゃんと説明せず彼らの希望を聞かなかったということがある、

現在、順天堂大学病院で心理士として勤務、がん患者、家族の精神的ケア、遺族ケア、小児患者のあそびのサポートなどを行う。
一方、がんで母親を亡くした子どもの精神的ケアに関わったのをきっかけに子どもたちへのグリーフケアの必要性を痛感。グリーフケア団体egg tree houseを立ち上げる。

●子どもたちにとっての死の認識と悲しみ
幼児はまだファンタジーの中にいてお星様にいるとかそういうお話でも良い。でも、小学校5年生以上は大人とほとんどかわらない死への認識がある。
子どもにとっては、まず「不在」ということに対する違和感があるのだろう。
小学生低学年の子のお母さんから、弟がどういう風に亡くなったか教えてという質問があり、それは本人なりに死を理解したい思いがあるので話してあげてくださいと助言した。
死の現実は不可逆性にあり、亡くなった者は戻らない。
確かにそうだが、自分はそれだけではないと思っている。
何かの拍子に亡くなった娘と話している自分がいる。それは科学的には証明できないし、オカルト的な話かもしれないが、それをカウンセラーの立場として全面否定する気はない。人間は確かにそういうこともある。そんな話を受け入れて聞くことも大切である。
子どもは子どもなりのファンタジーの中にいて、星の王様になっているとかそういう話を信じている。それは大切にしてあげる。
そして、誕生日とか命日とか、節目、節目の日を大切にして行く事で自分の気持ちを成長とともに納めて行く。
子どもは悲しみがあっても、学校では、元気に過ごさなきゃいけないということがある。
自分の経験で言えば、妹の死を経験後、何も訴えてこなかった姉が、高校生になって問題を起こし、そのとき初めて第三者に悲しみを訴えたという。全くの赤の他人だから初めて言えたのかもしれない。

●亡くなったきょうだいをみんなに伝えたい
亡くなった者の存在を伝えたい理由は様々だと思うが、死ということの他者の受け止め方への想像力・・暗黙のマナーが人にはあるということが理解できる歳になるまでは、挨拶のように死者の話はするものではない・・ということがまだ理解できていない。だけど、それをやめなさいと頭ごなしにいうこともできない。きょうだいを失った孤独感や寂しさの発露かもしれない。先生がそれをうまくあつかってくれればいいが、何も分からない先生も多い。
自分の家には亡くなった娘の写真がそこら中に飾ってあり、兄や姉の友達がそれを見て初めて知って驚くということがある。
子どもたちを集めたグリーフケア活動は、みんなきょうだいが同じ経験をしているので、日常を離れ、そういった話も遠慮なく出来る空間としてある。

●親の変化を見る子ども
きょうだいの死によってPTAの参加などに消極的になった母親の変化を見て、昔の活発な母親観がくずれて疑問に思う子どもたちもいる。
子どもからの、昔の方が良かった。昔のようにやってという要求に、いろいろ気づかされ、以前のようにしようと努力している母親の話というのもある。

●一人っ子を亡くす
一人っ子を亡くしたお母さんのカウンセリングをしたことがある。
毎回、何か一つ亡くなったお子さんのものを持ってきてもらい、お子さんの思い出を語って、お子さんのことを教えてもらう。当然、涙、涙になるわけだが、それを何度かすることによって気持ちを納めていくという方法がある。
いままで鬱とかいろいろ精神科に診断されたが、はじめて娘のことを聞かれた。とても嬉しいです・・と言われた。
わりと効果がみられたが、同時に思い出語りは辛い作業であったらしく、しばらく診療に来ていない。
グリーフケアでは不幸くらべはしない。
きょうだいがいるから(悲しみが自分より薄いはず)・・・というわけでもない。
だけど大学生で亡くなった方を見て大学生まで生きていてうらやましいとも言っていた。


●社会の理解
グリーアケアはまだまだ知られていない。
自死で親を亡くした子どもが合唱曲で親が出てくるから歌えないと訴えても変えてくれない。学校の大人は何も分かってないから話したくないという子どももいる。
学校でも理解できる先生はほとんどいない。今、学校を回って説明をする活動をはじめている。
以前、スクールカウンセラーをやっていたときに、中学生でいつも泣いている子がいて、話してみると父親が自死で亡くなってその子が第一発見者だった。
みんながみんなではないが、子どもが精神的に病んで行くきっかけのひとつが身近な人の死である。
元気がないとか遊ばないとか変化に気づいて行く事が大事。
普段通りにやっていれば、まず健やかであると思っていい。

この他にも興味深いお話はあったのですが、参加者のプライバシーにも関わりますので詳述は避けます。
お分かりのように、どのお話にも、落ちというか結果というか答えはないのだなと思いました。
でも、それは当然で、人の気持ち悲しみは、安易に回答が出るものではありません。

ただ言えるのは、先生はとても話しやすい方だということです。
とにかく気持ちを理解してもらえるのではないかという物腰がおありになります。
やはり、人間を・・・子どもを心からお好きなのでしょうね。

まだまだ日本では理解が進んでいない子どものグリーフケアという分野。
当会としても何かできればと計画中です。

ご多忙の中、お時間を割いていただいた先生に感謝です。

コメント

西尾先生との懇談会

懇談会感想です。西尾先生の第一印象は、とても優しい人柄でニッコリ笑顔は、私共も、その笑顔にすぐに緊張がほぐれました。

まず、参加者の自己紹介から始まり、闘病生活や兄弟のことなどお話頂き、涙する場面もありました。我々の自己紹介が終わり、西尾先生も自己紹介して頂きました。自身も43才の時に5才のお嬢様を神経芽腫で亡くされ、大切な人を失う辛さをしっている、数少ないグリーフケアの臨床心理士さんであるとのことでした。

時間は2時間と限られていますので、要点をまとめる形で、質疑応答といったものから、西尾先生の臨床の上での、経験談をお話して頂きました。グリーフケアの中でも兄弟や親の自死体験をされた、お子様のことなど、幅広く対応し、気持的なことで言えば、大人、子供、関係ないということでした。

小学校中学年ぐらいですと、寂しさの表現力をどう表わしたらよいか!?など、表現方法はまちまちですが、その表現方法により、受け取り側が、どう受け止めるかなど、問題はあるのかも知れません。

小学校高学年になりますと、ほぼ大人よりの表現方法となるそうで、対応等含め、プロセスから結果までが、おおよそ想像できる年齢ということだと思います。必要な事は、「人間ベース」で考え、必要な人に、伝えることが、無難といったお答えにも聞こえました。一つの答えを出すには、やはり個々の性格や環境的にバックアップ体勢がないと難しいのと、答えがないからこそ、慎重に、かつ、残された兄弟が傷つかないように対応することがベターなのかも知れません。

ある兄弟を亡くした妹さんの話ですが、病気で兄弟を亡くす前は、PTAや授業参観など、率先して参加していたママでしたが、亡くしてからは、役員や授業参観など、まったく避けていたそうです。妹さんは、ママの行動に、とても寂しいと訴えていたそうです。その事を知った、ママは役員や授業参観など、出来る範囲で参加したそうです。心理的には不安定だと思いますが、参加することで、自身が傷つくこともあったと思いますが、印象に残る、西尾先生のお話でした。

残された兄弟の中には、周囲に聞かれたりすることを嫌がり、親に話すこともしない子が、まったく関係のない人に、亡くなった兄弟の話をするなど、「近くの金より遠く銀」に、心許すこともあるそうです。亡くなった兄弟を、知らないから話すということは、伝えて清算する、心の護身術なのかも知れません。どんな形でも、清算することで、心が和むのは、遠い人の支援も、意識はしていないが、とても助かっていることだと思います。

以前、天使になった子供の美術展の話をしましたが、残された兄弟の、天使に対する思いを表現する美術展というのも、グリーフケアには必要なのかも知れません。

一人っ子遺族は、今後どうやって生活していけば良いのか、「生と死を考える会」などを、紹介して頂きました。あと「ワイルズの闘病記」という本を教えて頂きました。小学3年でT細胞型急性リンパ性白血病を発症した、高校生のお話です。アンドリュー・ワイルズの不屈の精神に共鳴し、たったひとつの真理を求めて白血病と向き合った著者の、17年と半年の記録です。西尾先生はファンタジーという言葉を使っていましたが、私にもリンクすることがあるので、とても興味深いです。不思議体験を、どう捉えるか、人の自由ですが、ファンタジーとは、まさにそのような事を、プラスに働かせて、どう生きるか、考えさせられました。
【2014年7月1日 03時31分 (Tue)】 のぶちん

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